【夏休みの自由研究】名字から自分のルーツを探ってみよう!令和版日本の名字ランキングトップ5
わたしの身近なモノ・コト・ヒト
「好きなことや夢中になれることが分からない」キッズたちへ、皆さんの身近に存在しているモノ・コト・ヒトから歴史をたどってみよう!名字の歴史を知ることは、自分のルーツを知ることにも繋がります。日本の名字ランキングトップ5の祖先たちはどんな人物だったのかな?
〝好きこそものの上手なれ〟という諺(ことわざ)が存在するくらい、好きなことには夢中になりやすいはず!
でも、「好きなことや夢中になれるが分からない…」という歴史人キッズへ。
皆さんの周り何気なく存在しているモノ・コト・ヒトから歴史遊びをはじめてみよう!
■そもそも、名字のはじまりっていつ?
現代に生きる私たちが何気なく使っている名字の歴史は、古代の「氏姓制度(うじしかばね)」にさかのぼることができます。
『……「氏姓制度」って難しい』と思ったキッズたち。
ここで大切なのは、今から約1400年も前から名字のルーツは存在していたということ!
私たちの身近には、〝歴史が何気なく存在している〟ということ!
しかし、これはあくまでもルーツ。
名字を誰もが当たり前にもつことができたのは、長い歴史の中でも最近の事です。
では、いつ名字が〝当たり前のモノ〟になったと思いますか?
明治8年(1875)、新政府が「平民名字必称義務令(へいみんみょうじひっしょうぎむれい)」を公布したことが始まり。つまり、今から約150年前にすべての国民が名字を名乗ることが〝義務〟となったのです。
今回は日本名字のランキングトップ5のルーツを一緒に探っていきましょう!
■第1位 佐藤:令和日本で最も多い名字!平安中期の藤原氏

©国立国会図書館デジタルアーカイブ
日本で一番多い名字は、「佐藤」さん。
北海道をはじめとした9都府県で最も多く、全国でも26都府県でベスト10に入っている名字。
特に東北地方に多く、秋田県や山形県では全体の8%を占めています。
平安時代中期、藤原北家秀郷(ふじわらほっけひでさと)流の公清(きんきよ)が「左衛門尉(さえもんのじょう)」という仕事に代々任ぜられました。
左衛門尉の「左」と藤原の「藤」を組み合わせて、『佐藤』を名乗ったことがルーツといわれています。
※「左」が「佐」の字へと変わった理由は、諸説あり。
公清の子孫には、教科書にも登場する鎌倉時代の有名な歌人の西行がいます。
■第2位 鈴木:稲穂を積んだ藁(わら)がルーツ!

「すずき」の由来となった紀伊半島の藁塚のイメージ
佐藤に続いて、令和日本で多い名字は、「鈴木」さん。
昭和の時代までは、全国で最も多い名字とされていました。
そんな鈴木姓の発祥地は、大和国山辺郡穂積郷(やまとのくにやまべぐんほづみごう)とされています。
現在の奈良県天理市にあたります。
刈った稲穂を積んだ藁のことを、熊野地方では「ススキ」と呼んでいました。
熊野は、古くからたくさんの人々がお参りに足を運んでいた地域。
熊野信仰とともに、全国へ広まっていきました。
現在、茨城県をはじめとした8都県で1位となっている名字です。
―第3位発表の前に、ちょっと余談ですが……
義務化に伴い、すべての国民が名乗ることになった名字。
名字を決めるには以下のような〝4大ファクター〟があります。
①地形や風景
②地名
③方位方角
④「藤原」にあやかる
名字は少ない文字の中に、祖先たちの情報を私たちに繋いでくれているバトンでもあります。
さて、第3位の発表へ戻りましょう!
■第3位 高橋:地名がルーツの名字で最大の名字!

「橋」の風景が名字になったんだね。
全国3位「高橋」は、渓谷(けいこく)にかけられた橋が由来しています。
高い建物のなかった古代では橋は目立つ建物だったのです。
先に紹介した〝4大ファクター〟を兼ね備えた名字ということが分かります。
板橋・船橋・橋本…など「橋」のつく地名や名字は全国に多く存在しています。
その中でも最も多いのが、高橋姓です。
群馬県と愛媛県で最多姓となっており、24都道府県でベスト10に入っています。
人口比では、岩手・秋田・宮城の3県で4%を超えています。
■第4位 田中:稲作とともに全国へ拡散!

日本食に欠かせないお米とともに「田中」は広がっていったんだね。
沖縄を除く西日本では全て15位以内にランクインしている、日本を代表する地形名字「田中」姓。
田園の中という意味があります。
西日本に多いのは、大陸から渡来した稲作文化が、西国から順番に伝わり広がっていったことに関係しています。
一方、東北に少ない名字です。
理由は、当初田園は東北に少なかったから。農民は自由に移動ができなかったため、移動による拡散が少なかったと言われています。
■第5位 渡辺:鬼退治伝説の英雄がルーツ!

©国立国会図書館デジタルアーカイブ
「渡辺」姓は、和歌山と沖縄を除く、45都道府県でベスト100に入る名字。
ルーツは、平安時代中期の摂津国渡辺(現在の大阪市中央区)にいた、渡辺綱(わたなべつな)につながります。
渡辺綱は、大江山の酒呑童子を退治した逸話が残る源頼光四天王の筆頭だったと伝えられます。
つまり、渡辺姓は〝鬼退治伝説〟の一番すごい人が由来しています!
渡辺一族は、「渡辺党」という武士団を結成すると水軍としての能力に優れていました。
そのため、源平争乱など、たくさんの戦いで大活躍していました。
名字監修/森岡浩先生
次週は、トップ6~10をお届けします。
あなたの名字は、令和日本の名字ランキングトップ10に入っているかな?どんなルーツがあるのかな?
一緒に身近なモノ・コト・ヒトから歴史を探ってみよう!