【推し活】戦国武将〝絶対的エース〟といえば言わずと知れた、織田信長!!
〝日本一生徒数の多い社会科講師〟伊藤賀一の「偉人推し、はじめませんか?」
推しがアイドルをやめた、グループを去ってしまったが故、日常の楽しみが一気に減り心に穴がぽっかり空いたような気分になっている方もすくなくないのでは?そんなあなたに〝日本一生徒数の多い社会科講師〟伊藤賀一先生がオススメしてくれるのが『偉人推し』。織田信長・豊臣秀吉・徳川家康が三英傑からいなくなることもありません、歴史の研究が急激に進み、教科書の内容が一変しない限りは・・・。
戦国・安土桃山時代の「絶対的エース」は、織田信長で文句なしでしょう。彼は、戦国武将の中で最も「主役」感が盛りだくさんの人ですが、それだけではありません。

赤いマント姿が印象的な、JR岐阜駅前にある織田信長像。
≪質問1≫ただの「主役」ではなく「絶対的エース」の条件って、何だと思いますか?
私は「絶対に替えのきかない人」だと考えています。
同じ位置に誰か違う人が「主役」として立っても、かなり違和感がある。それならその位置は空きでいい、というほどの存在感のある人。信長は、そんな人です。
彼はまず、生まれの「ガチャ」が大当たり。
①京都にほどよく近く、たくさんお米が取れる尾張国(いまの愛知県北西部)出身という立地の良さ。
②約100年ある戦国時代の終わりに生まれるというタイミングの良さ。
③売り出し中の戦国大名の長男に生まれるという毛並みの良さ。
まさに三拍子そろった、ラッキーボーイですね!
次に、波乱万丈のストーリー性。
①「うつけ(おバカ)」とまでよばれた元ヤンチャな若様の少数精鋭が、大大名(今川義元)の大軍を倒す衝撃のメジャーデビュー。
②その後、意外と苦労しながら前将軍の弟を奉じ8年がかりで上洛。
③義理の弟(浅井長政)に裏切られ、絶対絶命の危機を迎えるも、なんとか脱出。
④世話をした将軍(足利義昭)に裏切られ敵だらけで再度絶体絶命となるが、なんとか平定。
⑤大きな権威(朝廷・幕府・大寺社)に対しチャレンジ。
⑥ようやく天下に手をかけたと思いきや、側近(明智光秀)に裏切られ殺されるがその理由は謎……。
ハラハラ・ドキドキ???が止まらない!
最後に、本人のキャラが立ちまくり。
①長身で色白のイケメン、怒ると超怖いのに踊りが上手というギャップ萌え。
②つねに「天下」をめざす志の高さ。
③熱い向上心からくる「新しいモノ好き」(鉄砲・キリスト教・超巨大な城と軍船)。
④冷静な計算からくる「役立つモノ好き」(千利休ら豪商・楽市楽座・関所撤廃などカネを生む装置)。
⑤熱さと冷たさが熱狂と裏切りを生む「両刃の剣」ぶり……。
その他にもたくさんあり、書ききれません!
≪質問2≫さて、そんな「絶対的エース」の役割って、何だと思いますか?
私は「自分が最も輝き、その光で周囲も輝かせること」だと考えています。
だからこそ、信長は周囲のキャラも立ちまくりなわけです。
①妻が「美濃のマムシ」斎藤道三の娘(濃姫)で、妹が戦国一の美女(お市の方)。
②同盟相手が隣国の元人質の若様(徳川家康)。
③最大のライバルが高僧(本願寺11世顕如)。
④部下が明智光秀・柴田勝家・滝川一益・丹羽長秀・羽柴秀吉・森蘭丸・黒人の弥助……、って有名人だらけじゃないですか。こんなメンバーのセンター&先頭で輝いてるすごさ。彼・彼女らは皆、信長の背中を見て動いているんです!
≪質問3≫最後に「絶対的エース」の存在意義とはなんでしょうか?
私は、2つあると考えています。まず「その人をきっかけに全体に興味を持つ人がいる」こと。人々の入口・玄関になることです。信長をきっかけに戦国時代、いや日本史に興味を持った人はどれほど多いことか……。
そして、「全体のすそ野を広げる」こと。どんな世界でも、頂点が高ければ高いほど、富士山のようにすそ野が広くなります。信長の精一杯の、波乱万丈の人生が、どれほどの人の心を動かしてきたことか……。
ある「絶対的エース」をきっかけに、スポーツや芸能、さまざまな業界に興味を持つ人がいる、そしてまた、全体のすそ野を広げていく。野球の大谷翔平、スケートの羽生結弦や浅田真央、将棋の藤井聡太……。このように「絶対的エース」が出てきた業界は、必ず栄えるのです。
長く続く戦国ブームは、織田信長がつくり上げてきたものなのでしょうね。