【Mummy-D&KOHEI JAPAN】令和の東京で江戸さんぽ! 文化と暮らしを体感できるイチ推しスポットを巡る旅
Mummy-D&KOHEI JAPANの遠い目症候群#12
<Mummy-D&KOHEI JAPANの今日も遠い目で一献!>
歴史を肴に、ゆるゆる語らうコーナー。
1日を振り返ってまいります。
執筆/チャック・ザ・ジッパー

1日お疲れさまでした!
Mummy-D(以下D):さて今回は、「令和の東京で江戸文化を感じる」っていうテーマでいろいろまわってきたけれど。
KOHEI JAPAN(以下コ):「遠い目症候群」の連載では2度目の日本橋だったけど、新しい発見があって面白かったね。
D:な! まず最初に行ったのが「すみだ北斎美物館」。今回は『北斎を学ぶ部屋』を見学させてもらったけれど、やっぱイイな北斎! まさに画狂老人だったわ(笑)
コ:北斎パネエって思ったね。
D:すごいよなあ、あの緻密さ! 北斎といえば「冨嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」とか「山下白雨(さんかはくう)」が有名だけど、実際はA4版くらいのサイズなんだね。よくこんな小さい世界にあんだけの情報を詰め込めるよなあ!
コ:近くで見ると繊細な色使いが分かるし、グラデーションも自然ですごく凝ってるよね。なんでも風景画っていうジャンルを日本で最初に確立したんでしょ?
D:らしいね。それまで絵は人物が入っていないと成り立たなかったったらしい。
コ:それだけでもすごいのに、マンガの原型のポップアートみたいなものや一筆書きのとか、CADで作ったような精緻な神社の宝塔画とか多彩に描き分けてて、マジリスペクト。
D:そのくせ老境にして娘の応為(おうい)に「おれは猫一匹まともに描けない」って泣き言いったらしいんだよ。いやアンタ、晩年の絵もすごいから! 数え90歳まで生きてその言い草は、マジですごいジジイだなって思うわ。
コ:北斎の絵をまじまじと見たことがなかった今日までのオレを恥じたいね。
D:まじまじと言えば、その後に行った日本橋でも発見があったよ。まじまじと見たことで。
コ:ああ、なんかすっかり新しいビルに囲まれて、壁に囲まれた都市みたいになっちゃってたけど……。
D:それもあったけど、実は橋の真ん中にある麒麟像の装飾柱の突起と首都高の間が5㎝くらいしかなかったんだよ。前回行ったときにはまったく気づかなかったけどさ、あれ一体どうやって建てたのさ。
コ:ぜんぜん遠い目と関係ないじゃん(笑)
D:いやいや、首都高が地下化しちゃったらもう見られなくなるわけだから。逆に今だけだから。日本橋に行った際はぜひ麒麟像の下から真上を見上げて欲しいです。
コ:日本橋だとその後に行った出汁の老舗・にんべんさんもかなり面白かったよね。鰹節ひとつにしても、当時の人たちのいろんな知恵が詰まってて。
D:本枯(ほんがれ)鰹節な。4回以上カビ付けと天日干しを繰り返したやつ。
コ:そもそもは薩摩や土佐から大阪に運ぶ際に悪いカビが生えないように、先に良いカビを付けてたってのが始まりだそうだけど、それを江戸に運ぶようになっったことで、さらにカビ付けの回数を増やしてたら「あれ? 風味がよくなってね?」って気づいたみたいね。
D:それを今でも変えずに受け継いでるわけでしょ? まさに江戸の味だよな! しかもあんなにカッチカチになっちゃって。あの硬さはもはや木だったぞ。
コ:オレも正直鰹節ナメてた。聞くところによると鰹節の原型って『古事記』の頃からあったらしいし。
D:もはやこの味は日本人のDNAに組み込まれてるんだよ。
コ:日本橋でこういった老舗巡りをするのは楽しいよね。
D:そこだよ。そもそもなんで日本橋に老舗が多いかって言ったら、ここが魚河岸だったからだよ。魚河岸があって人が集まれば、それ目当ての屋台が増えるし、木屋みたいな道具屋も出来て……みたいな。
コ:そういやこの後に歌舞伎座行ったじゃないですか。歌舞伎ももともと橋の袂とかでやってたんでしょ?
D:そう。江戸時代は今よりも芝居小屋がアチコチにあって、町人の娯楽の中心だったの。でも贅沢禁止令で何度も弾圧されてんだよね。
コ:そう考えたら昔の歌舞伎役者の写真とかよく残ってたな。
D:歌舞伎座ギャラリーにあったやつね。あの歌舞伎役者たちの写真の年代が天保とか文久とかだったじゃん。だけどそれってよくよく考えると、その人たちが生まれた頃って葛飾北斎とかまだ生きてる時代なんじゃね?
コ:ホントそう!……ってあれ? なんか繋がった。
D:つまり北斎も“浮世絵の世界の人”じゃなくて、本当に生きて江戸にいた、絵が大好きなおじさんだったんだなってリアルに感じられたのよ。だから今回の取材はしみじみ『江戸ってメチャメチャ地続きなんだなあ』って思ったんだよね。
コ:確かに。前に某番組で「徳川慶喜リアルに見たことある人」が出てたけど、よく考えたらオレらのおじいちゃん世代のちょっと前だよね。
D:僕らも江戸に愛着があるから前よりいろんなことを想像できるようになってるし、あの写真にはハッとさせられたわ。
コ:今回はどこも庶民が工夫をして、周りを楽しませよう、美味しいものを食べさせようとかっていう思いがちょっとずつ積み重なっているスポットだったよね。オレはそういった人々の暮らしの歴史が垣間見れたのが良かったよ。
D:今回はJR東海が展開する「#東京ゾクゾク」キャンペーンから、『古地図で巡る!ぶらり東京街散歩』とのコラボ企画っていうことだったけど、「ストリートミュージアムアプリ®」をダウンロードしておくと専門家の先生が設定されたスポットで解説してくれる動画も見られたりして、おもしろいよね。
コ:街歩きのルートの参考にもなるし、歴史への理解もぐっと深まる気がする。
D:東京にはまだまだ江戸を感じるスポットが残っているから、ぜひアプリも活用して楽しんでほしいです!
コ:よろしくお願いしまっス。
