【Mummy-D&KOHEI JAPAN】令和の東京で江戸さんぽ! 文化と暮らしを体感できるイチ推しスポットを巡る旅
Mummy-D&KOHEI JAPANの遠い目症候群#12
ヒップホップグループ「RHYMESTER(ライムスター)」の兄・Mummy-Dと、「MELLOW YELLOW(メローイエロー)」の弟・KOHEI JAPAN。2人は共に音楽シーンで活躍する一方で、大の歴史好き。今回はJR東海が展開する「古地図で巡る! ぶらり東京街散歩」とのコラボ企画として、東京駅を起点とした江戸文化を体感する特別な旅をお届けします!
■東京駅から始まる大江戸タイムスリップ旅
(by Mummy-D)
遠い目、してますか? さて、今回の「遠い目症候群」はなんと! JR東海が展開する「#東京ゾクゾク」キャンペーンから、『古地図で巡る!ぶらり東京街散歩』とのコラボ企画! この企画は、「江戸文化編」や「江戸築城編」など、テーマに沿った歴史の裏話を専門家が語る動画が東海道新幹線の車内限定で楽しめるほか、「ストリートミュージアムアプリ®」をダウンロードして各テーマで設定している現地スポットに赴くと、その場で専門家による解説動画が見られるという、歴史好きにはたまらない街歩き企画なのです! 今回のテーマは「令和の東京で体感する江戸文化」でございます。ヨイショー!!!
探索エリアは当企画ではもはやお馴染みの日本橋周辺から両国、深川などの下町にかけて。この一帯、何度訪れても新しい発見のある、大江戸エキス濃密エリア! 正直遠い目してる余裕なんてないはずなのですが、今回は、果たして???
■葛飾北斎と浮世絵の魅力を知る「すみだ北斎美術館」
(by KOHEI JAPAN)
今回は下町両国からスタート。「両国」といえばやはり「相撲」のイメージが強い、ということで摺り足で移動するオレ達。スリスリ。スリスリ。向かうは「すみだ北斎美術館」である。葛飾北斎は言わずもがなの江戸時代の浮世絵師。浮世絵というのは、当時の人々の生活や風俗を描いた絵画で、作品の多くは木版画で作られたため、一般庶民でも安価でゲッツできるようになり、大衆文化へと発展していったのです。そんな浮世絵界の代表的存在のひとりである北斎、この墨田区界隈に90年の生涯ほぼ住み続けた、生粋の江戸っ子なのです。
下町では異彩を放つギラっとした近代的外観の美術館。にじり足で展示室(『北斎を学ぶ部屋』)にピットインすれば、黒を基調としたモダンな空間に、北斎が約70年間描いてきた代表作の実物大高精細レプリカが、時代別に展示してある。日本人なら誰もが知っている「冨嶽三十六景」の画風しか知らなかったが、実に多彩な画風で様々な作品を生み出してきたのがとても分かりやすく展示してあり、俺みたいな北斎初心者にも優しい。
NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の主人公、蔦屋重三郎は、まだ北斎が「勝川春朗」と名乗っていた頃、いち早くその才能を見出し、役者絵や黄表紙の挿絵などに起用したらしいが、蔦重の死と入れ替わるように北斎は活躍して行き、次々とヒット作品を生み出してゆく。
中でも目を引いたのは『北斎漫画』と言われている作品で、作品というより門人のための、絵手本と呼ばれた指導書とのこと。この絵手本には人物のあらゆるポーズ、動植物、風景、建築などの膨大な図案が緻密な筆で描かれており、ユーモアにも溢れ、指導書とは思えないほど、北斎が実に生き生きと、楽しんで描いている情景が浮かぶ。
順路どおりにじり足でジリジリ歩を進めると、最後に北斎のアトリエがリアルに再現されており、畳に突っ伏して布団をかぶり、紙に筆を動かす北斎の姿が見て取れる。この空間から江戸の文化が発展し、世界に誇る浮世絵へと発展していったのだなぁ。余談だがオレも真似して布団を被りながらうつ伏せで原稿を書いている(笑)。しかし記録的ヒットとなった「冨嶽三十六景」が刊行されたのは北斎が70代前半というのだから、その創造力に、ジャンルは違えど同じアーティストとして畏敬の念を禁じ得ない。リスペクトを込めて、丁寧に遠い目させていただこう。

モダンな内装だからこそ、北斎が描いた浮世絵の美しさが映える。