江戸を熱狂させた平賀源内の「多才」
蔦重をめぐる人物とキーワード⑤
2月2日(日)放送の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第5回「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」では、蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう/通称・蔦重/横浜流星)が再び版元として歩みを始める様子が描かれた。一方で、それまで二人三脚でやってきた相棒の唐丸(からまる/渡邉斗翔)が不意に姿をくらますのだった。
■蔦重の相棒・唐丸が謎の失踪を遂げる

東京都台東区の総泉寺跡地。門扉の中には、平賀源内の墓が立っている。塀は旧高松藩藩主の子孫が寄贈したといわれる。獄死した当時、まことしやかな生存説も流れるなど、奇才の人物らしい、さまざまな真偽不明の伝説を残した。
蔦重の版元「耕書堂」の名は、書をもって世を耕し、日の本をもっと豊かな国にする、という平賀源内(ひらがげんない/安田顕)の思いが込められたものだった。版元を立ち上げたまではよかったものの、売り出す本は吉原限定で、版元の仲間内でなければ江戸市中で流通できない現実を前に、蔦重は不貞腐れる日々を送っていた。
そんななか、唐丸の前にある男が現れる。唐丸の過去を知っている男は、周囲の者に秘密を黙っておく代わりに、金の工面を唐丸に強いた。
一方、秩父の鉱山に呼び出された源内は、採掘から10年が経っても良質な鉄が出てこないことに怒った土地の人々に突き上げを食らっていた。そこで源内は鉄の精錬のために大量に抱えた炭を売る商売に変更するために、江戸に戻り、金策に走った。
源内は田沼意次(たぬまおきつぐ/渡辺謙)のもとを訪ね、資金の融通を懇願する。意次は商いを盛んにして庶民を潤わすことで幕府の収入増を目指しており、源内の思惑とも一致していた。意次は源内の願いを受け入れた。
その頃、蔦屋では銭箱とともに唐丸の姿が消える騒ぎが発生。唐丸は際限のない無心に耐えかね、男とともに川へ身投げしたのだった。それを知らない蔦重は懸命に探したが、唐丸の行方は分からぬままだった。
唐丸が盗みを働く悪党の手先だったとの噂が吉原中に流れるなか、蔦重はいつか、吉原に戻ってきた唐丸を当代一の絵師として売り出す夢を実現すべく、再び版元になることを決意。鱗形屋孫兵衛(うろこがたやまごべえ/片岡愛之助)のもとで、お抱えの改め(情報収集や編集を行う者)として再出発を図ったのだった。
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