❝令和トレンドメイク❞と❝平安トレンドメイク❞を比較してみた。時代劇でもメイクは忠実に再現されていない!
平安時代のおしゃれさん
〝美しさ〟の基準は、時代やそれぞれの好みによって異なるもの。では、平安時代はどのようなスタイルをしていると〝おしゃれ〟
歴史人Kidsをご覧のみなさん、こんにちは。tomekkoです。
今年の大河ドラマは平安時代が舞台。華やかな衣装や優美な仕草にうっとりしてしまいますね。
というわけで今回から『平安貴族のおしゃれさん』というシリーズで現代と比べながらいろんな「おしゃれ」の実態を楽しく知っていきましょう。
時代劇って髪型や衣装はその時代に合わせて時代考証されているけど、お化粧ってどうなんだろう?
実はね…お化粧だけは忠実に再現するとドラマが成立しなくなってしまうんです。
現代人とはちがう美意識だった昔の化粧法でお顔を作ってしまうと見た目が気になって視聴者がストーリーに入り込めないんですよね。
でも、気になりませんか?どんなメイクをしていたのか…?
まずは現代、令和のトレンドメイクを見てみましょう。

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SNS映えを意識したキャッチーなメイクが飽きられ、今年は原点回帰がトレンドだそう。
ナチュラルな美肌、控えめな引き算メイクで上質さや洗練された印象に自分を底上げするメイクがウケそうです。
その分髪型は顔まわりに動きをつけたりパーマをかけたりと、その人の好みや髪質に合ったヘアスタイルを楽しめそう。香水やネイルもやりすぎず、でも手入れの行き届いた清潔感がポイントです。
ふむふむ、これはチャレンジしてみたくなるメイクですね。
では、平安時代のトレンドメイクはというと・・・?

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日本の伝統的な化粧に使われる色は、江戸時代まで変わらず白・黒・紅の3色です。
衣服の染色技術が進歩し十二単が楽しめるようになったのとは随分違ってシンプルですね。
衣の裾よりさらに30センチほど長いことが理想とされた黒髪ストレートのロングヘア。もうこれ一択です。くせ毛や天然パーマは嫌われました。
メイクは素朴ながらていねいに香を焚き染めたり、ホウセンカの花の汁で爪を染めたり(爪紅)もしていたんですよ!
現代と大きく違うのは眉。生えている毛は全部抜いて(!)眉墨で真っ直ぐに描きます。芒眉といって端の方はぼかしています。
実は能面のように額の上の方に書くと誤解している方が多いのですが、高い位置に眉を書くようになったのは鎌倉時代以降。平安時代は当時の絵巻物を見ても本当の位置より少し上ですね。
女性たちが公の場から姿を消し、動から静の美を追究するようになったこの時代。眉を真っ直ぐに書くことで表情の変化を隠す目的があったのではないかと言われています。
さて、現代とはまるで違った美意識の平安時代ですが、枕草子では女性の容姿に言及する場面があります。大河ドラマでもお馴染みF4のお一人、藤原行成が清少納言に話すシーンです。

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この話は逆説的に容姿を褒める話なので、つまりはこの時代では不美人の例えですね。
目が大きく眉は上がり、鼻が横に広がっていたとしても口元や首がふっくらとして綺麗だったらOK…と行成。
目が大きく顎は細い方が美人とされる現代とは感覚がずいぶん違うので、きっと今の美人さんが当時と同じメイクを施しても平安ならではの美しさは再現できないのかもしれませんね。
メイクもまたその時代、その文化を反映して磨かれ洗練されていたことを知りながら、時代劇も見てみてほしいなと思います。