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『論語』が示した“学ぶ”ことへの姿勢と心構えを説いた【9つ名言】─論語に学ぶ人生のヒント─

日本人と『論語』の歴史#02


『論語』の最初に学ぶ姿勢をまとめた「学而」を配すほど、学ぶことを大切だと考えていた。


 

孔子像

 

子曰(しいわく)、学んで時にこれを習う、
また説よろこばしからずや。
朋(とも)あり遠方より来たる、
また楽しからずや。
人知らずして慍(いか)みず、
また君子(くんし)ならずや。
【学而1-1】

(訳)
先生は言われた。学んだことをしかるべきときに復習するのは、喜ばしいことではないか。学友が遠方から来てくれるのは、楽しいことではないか。人に才能や人格を認められなくても腹を立てない。それこそ君子ではないか。

 

 

子曰く、
故(ふる)きを温めて新しきを知る、
もって師となるべし。
【為政2-11】

(訳)
先生は言われた。過去の実例を鑑(かがみ)として学び、目の前の問題解決への糸口を見い出せるようになってこそ、人を導く者になれる。

 

 

子曰く、吾(わ)れかつて終日食らわず、
終夜寝(い)ねず、もって思う。
益なし。学ぶに如(し)かざるなり。
【衛霊公15-31】

(訳)
先生は言われた。私は前に1日中何も食べず、一晩中一睡もせず、ひたすら思考を巡らせたことがあるが、まったく得るものはなかった。やはり学びに勝るものはない

 

子曰く、教えありて類(たぐい)なし。
【衛霊公15-39】

(訳)
先生は言われた。どういう大人になるかは教育の受け方次第で、どういう身分の家に生まれたかは関係ない。

 

子夏(しか)曰く、博く学びて篤く志し、
切に問いて近く思う。仁(じん)その中にあり。
【子張19-6】

(訳)
門下生の子夏が言った。広く学びながらも目標を忘れず、何事も自分の身近にある問題と重ね合わせながら考えていく。仁徳はこの中から生まれてくる。

 

子夏曰く、
仕(つか)えて優(ゆう)なればすなわち学び、
学びて優なればすなわち仕う。
【子張19-13】

(訳)
門下生の子夏が言った。出仕し役人になって余力があれば学問を続け、学問をして余力があれば役人になりなさい。

 

子曰く、生まれながらにして
これを知る者は、上なり。
学んでこれを知る者は、次なり。
困(くる)しみてこれを学ぶは、
またその次なり。
困しみてしかも学ばざるは、
民にしてこれを下となす。
【季氏16-9】

(訳)
孔子は言われた。生まれながらにして知識や知恵が備わっているのは、最上の人間である。学んで知識や知恵を身につけるのがこれに次ぎ、苦学力行のすえに結果を出すのがその次の人間である。ひとたび壁に突き当たっただけで学びをあきらめるのは最低の人間である。

 

子曰く、憤(ふん)せずんば啓け いせず。
悱(ひ)せずんば発(はっ)せず。
一隅(いちぐう)を挙げてこれに示し、三隅(さんぐう)をもって
反(か)えらざれば、すなわちまたせざるなり。
【述而7-8】

(訳)
先生は言われた。答えに近づく努力を重ねながら、目前で足踏み状態にあるのでなければ、教えない。言いたいことが喉まで出かかっているのでなければ、導かない。四隅のうち1つを示しただけで、残りの三隅に考えが及ばない者には、同じことを繰り返さない。

監修・文/島崎晋

歴史人2025年12月号『日本人と『論語』の歴史』より

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