×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画
歴史人Kids
動画

【古代史の真実】「ヤマト王権の“本当”の発祥地」は、定説とちがう!? 地元住民が「証拠隠滅」していた!?  「柏原説」を振り返る

日本史あやしい話

 

■神武天皇の宮殿は、橿原ではなく柏原だった?

 

御所市柏原にある神武天皇社。こちらが畝傍橿原宮のあったところだとの説も/撮影・藤井勝彦 

 本居宣長が著した『菅笠日記』によれば、「畝傍山(うねびやま)の近くに橿原という地名はなく、一里あまり西南にあることを里人から聞いた」という。それが、御所市柏原に祀られた神武天皇社の地である。

 

 これには少々複雑な経緯があった。自らの居住地が宮跡だったということが表沙汰になれば、立ち退きを迫られるようになるのが必然。これを危惧した住民たちが、証拠となる資料をことごとく燃やしてしまったことで、立ち退きを求められることもなかったのだとか。

 

 証拠も失われてしまった今となっては、その真偽のほどは確かめようもない。しかし、神社の北西にそびえる本馬山(標高143m)が、神武天皇が登って国見をした「掖上(わきがみ)の嗛間(ほほま)」だったとの伝承も伝えられているところから鑑みれば、この地が真の橿原宮だったと見なすこともできそうだ。これが本当だとすれば、この地こそが、「ヤマト王権発祥の地」だと言えそうである。

 

 

KEYWORDS:

過去記事

藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

最新号案内

『歴史人』2025年10月号

新・古代史!卑弥呼と邪馬台国スペシャル

邪馬台国の場所は畿内か北部九州か? 論争が続く邪馬台国や卑弥呼の謎は、日本史最大のミステリーとされている。今号では、古代史専門の歴史学者たちに支持する説を伺い、最新の知見を伝えていく。