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岡田准一主演『燃えよ剣』原田眞人監督ロングインタビュー 第2回

松下洸平やウーマンラッシュアワー村本など、キャストへのこだわり

 全3回にわたってお送りする近日公開の映画『燃えよ剣』の原田眞人監督ロングインタビュー。今回はメインキャストとの信頼関係から脇役へのこだわりまで、その魅力を語っていただいた。

「燃えよ剣」

『燃えよ剣』近日全国ードショー ©2020「燃えよ剣」製作委員会 配給:東宝=アスミック・エース

――キャストについて伺いたいのですが、山田涼介さんが沖田総司。監督ご自身が彼の沖田を観たいというコメントを出していらしたんですけど、彼のどういうところに沖田を感じたのかを教えてください。また、鈴木亮平くんに関して、“私のイサミ君”という形だった、とおっしゃっていましたが。

 

 亮平くんは個人的に知っていましたけど、会うたびに “この人は近藤勇に似てるな”ってずっと思っていたんです。特に見た目が(笑)。だから新選組を題材にするときは絶対に近藤勇役は鈴木亮平にしたいとずっと考えていたんですよね。土方歳三はずっと岡田さんにお願いして来たんで、近藤は本物に近いやつにしたいという思いもあってのキャスティングになりました。

 

 実際の沖田総司はヒラメ顔だといわれているんですけど、やはり美しい顔の人にしたいと思い山田涼介さんにしました。最初に、彼を“いいな”と思ったのが映画『グラスホッパー』を観たときなんですよ。彼が演じた寡黙な殺人者の集中力は凄かった。目力もすごく強く、それに感動して。お願いをして最初に会った時は物静かな印象でしたが、逆にそこに惹かれた上で、運動神経はすごいということだったので、岡田さんの「道場」に通ってもらい岡田さんに細かいところまで指導してもらいました。沖田総司と同じくらいの俊敏性をもつところまでに仕上げてきて。もうこれは完璧な沖田でしたよね。僕の中の一番良かった沖田は武田真治さんだったんですけど、それを凌ぐ沖田総司を作りたいとずっと考えていたんです。今回それを山田涼介が達成してくれたと思っていますね。

原田監督とキャスト

原田監督とキャスト

――ヒロインの柴咲コウさんについてもお聞かせください

 

 お雪さんはね、柴咲さんが参加してくれて本当によかった。本人と会ってみたら本人の魅力が素晴らしくて。お雪さんよいうのは司馬先生の最愛の奥様をイメージしているところがいくつかあるわけですよね。原作が書かれてから50年。今の時代に合わせた女の強さ、独立心とかそういうのを入れたいなと。そこに原作にある要素をどんどん広げていって、土方と対等に渡り合う女にしているんです。そういう部分を柴咲さんはすごく理解して演じてくれました。

 

 なので、最初に土方と会うシーンでも普通の時代劇だったらそれなりに魅力的な衣装を着せようとしてしまうんですが、あえて地味な衣装にしてる。そういった部分に実はこの映画の狙いを込めていたりします。当時描かれたスケッチ、外国人の目から見た日本の婦人を表現しようという狙いですね。

 

――山崎烝役のウーマンラッシュアワー村本さんなども、かなり印象的な演技をされていました。キャストを決める際にこだわりや、気に入ったキャラクターがいればお聞かせください。

 

 基本的には完璧なハマリ役と、観てくれる人が発見するようなキャストという二通りのキャストを組み合わせるという考えでやっています。僕自身、映画を観ていて、これ誰? みたいな人が出演しているとすごい興味が湧く。今回は土方、近藤、沖田の配役は“あぁなるほどな”ってくると思うんで。だからワイルドカード的な存在として使いたい役者が何人かいたんです。

 

 山崎烝の場合は、『燃えよ剣』の原作の中で池田屋に密偵として入り込んでいるわけですよね。だから池田屋事件を濃密に描いていくときに山崎の立ち位置が重要になると考えていて。そのなかでかなり癖のある、だけど今までの山崎烝と違う雰囲気が出せる役者がいいと考えていたんです。そのとき僕のカミさんに「面白いコメディアンがいて、普通の吉本の芸人さんとちがう。マシンガントークで絶対あなた好みよ」といわれ見てみたら、確かに面白いんですよね。面白いという印象と同時に目つきが鋭いというインパクトを与えられて。そのアンバランス感がすごくよくて会ってみたんです。もうオファーするつもりで会ったんですが、本人が「まだ脚本読んでません」「新選組のことも知らない」「僕芝居下手ですよ」っていう具合だったのと、そのタイミングでドラマにサラリーマン役で出ているのを見たら、「うん、確かに下手だよね」って(笑)。僕としては彼の持っている魅力が活かせてないからじゃないかって言ったんです。彼のマシンガントークを活かして「山崎烝は時代劇だけどとにかく相手に喋り倒す、そういうことをやりたいんだ」って伝えたら「山崎烝丞のバックボーンとか聞かせて下さい」となり、そこから30分くらい、新選組とか事件の状況とか全部話して。いつの間にか彼の眼差しや聞き方とかが、なんというか真剣勝負しているような雰囲気に変化し始めて。コイツ面白いやつだなって、気に入ってしまいましたね。

 

斎藤一役は左利きの清潔な感じの役者さんを探して松下洸平を見つけたんです。ミュージシャンも含めて左利きの役者を全部リストアップして、見つけました。当時は、僕のワークショップに呼んだら来たんです。そこでの真摯な姿勢を見て、洸平でということになりました。

 

 藤堂平助役の金田哲くんについては、元々、剣道の達人だという情報を知っていて、いつかキャスティングしたいと考えてました。藤堂平助は殺陣に絡んでくるんで、ゼロから教え込んでいく人ではなく、高いレベルでできる人というイメージだったので彼がピッタリだったんですよね。

 

(第三回に続く)

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